SMAPの代表曲といえば…「世界に一つだけの花」ですね。
元々『SMAP 015/Drink! Smap!』という2002年発売のアルバムに収録されていた曲です。
その後、草彅くんの主演ドラマの主題歌としてシングルカットされ、大ヒットとなります。
しかし、SMAPの音楽の凄いところはここではありません!(と、思っています!)
それは、また歴史を遡るお話ですが…
このブログでも散々書いて来た「SMAPはただのアイドルとここが違う」という所以の一つなのです。
え?アイドルの歌にそれ必要ですか?〜その1〜
皆さん、アイドルって歌がうまいと思ったことありますか?
ない…ですよね。
自分もありません。
「SMAPは今までのアイドルと違って歌がうまい!」
…いやいや、流石にSMAPファンの自分でもそれは言いません!
下手です。めっちゃ下手です。一番上手いと言われている木村くんでも…です。
いいんです。
ジャニーズは歌が下手だって…かわいい顔して、ビシッと踊って、ニコッとカメラ目線。
それでいいじゃないですか。
歌なんて誰も聞いてないんだし。
アイドルはその歌の下手さをカバーする為にほとんどの楽曲をユニゾン(同じ音程で複数の声で歌う)しています。
少年隊のような少人数のユニットを覗くと、ソロパートは細かく区切って歌われることはあれど大胆にフューチャーされることはあまりありませんでした。
そして、この事象は現在も同じく続いています。
しかし、SMAPはここでも大胆な戦略に出ます。
1993年、10枚目のシングル「10$(テンダラーズ)」です。
まだSMAPが6人の時代です。
なんと、全員で歌っているのはサビだけで、AメロとBメロは木村くんのソロと森くんのソロで構成されています。
この曲を初めてMステで見た時は…
「え?うしろの人達バックダンサーになったの!?」と思ったものです。
自分はそれまでSMAPの「笑顔のゲンキ」や「君は君だよ」などのアイドル然とした雰囲気が好きだったのですが…
ここで急にクールな印象の楽曲が出て来て驚いたのを覚えています。
(確か…衣装も黒のスーツで急にクールになったような記憶が…)
この方向性を誰が考えたのかはわかりませんが…
きっと会議で最初に「今回は木村と森のソロでいきます」とアイディアが出た時はその場にいる皆が…
「え?それ要ります?」
…と思ったのではないでしょうか?
アイドルですし、そもそもこの2人はグループの中では上手い方…というだけで、世間一般では決して上手い方ではありません。
ここで無理矢理ソロパートを作っても、下手さが却って目立つだけです。
ただ、この方針を決めた方にはもっと深い狙いがあったのだと…今にしては思います。
そうです。
木村拓哉の別格化です。
森くんも木村くんと同じ分量を歌ってはいますが、全て歌い出しは木村くんが担当です。
木村くんは決して歌が凄く上手ではありません。
ただ…歌い出した時のカメラ目線はこの世の物とは思えないくらいカッコいいです。
信じられないくらいカッコいいのです。
恐らくですが…
この企画を考えた方(飯○さんでしょう…)はこう考えたのではないかと…
木村拓哉は間違いなく傑物。
とんでもなくカッコいい。
ただ、今の露出ではグループの中の1人という枠を飛び出すことが出来ない。
無理矢理にでも「木村拓哉はアイドルとはいえ別物」というブランディングをしなければならない。
そこで、どうしたって木村くんにスポットライトの当たるこの(ほぼ)木村ソロシングルを作った。
…のではないかと。
更にここで大事なのはもう1人のソロパート担当者である森且行。
彼の起用理由は「木村に続く人気で歌もうまかった」というものですが…それなら稲垣くんでも良かったのではと思っています。
ズバリ!
ここで森くんを起用したのはその”スタイルの良さ”を利用したかったのだと思います。
森くんは身長180センチ。182センチの香取くんに次ぐ身長を誇ります。
そして、がっしりした香取くんに比べると、スリムで手足が長くモデル然としています。
当時のアイドルは”小さくてカワイイ”というタイプが主流でした。
ジャニーズのアイドルは今でも180センチ台はかなり少ないです。
ましてや当時は160センチ〜170センチ台前半が主流でした。
そこに突然180センチの長身で黒のスーツを纏った森くんが登場して…
「え?アイドルなのにこんなスマートなの?」とビックリしたと思います。
「ジャニーズ顔」というだけでは片付かない木村拓哉のカメラ目線の威力、
「アイドルなんてチビばっかだろ」を覆す森且行のスタイル。
結果的に「10$」は特別目立ったヒットこそしませんでしたが、確実に「SMAPって何か違うよね…」というイメージを世間に残したと思います。
木村拓哉=2000年代初頭のハンサムの代名詞…という伝説は確実に動き出していたのです。
え?アイドルの歌にそれ必要ですか?〜その2〜
そして、SMAPの音楽への拘りを物語る事象がもう一つあります。
それは…
「アルバムのレコーディングに参加しているミュージシャンが信じられないくらい豪華」
ということです。
この事象に関しては…
SMAP 006~SEXY SIX(1994)
SMAP 007~Gold Singer(1995)
SMAP 008 TACOMAX(1996)
SMAP 009(1996)
SMAP011 ス(1997)
SMAP 012 VIVA AMIGOS! (1998)
このあたりに限定されますが…
なんと、006のレコーディングはニューヨーク…
歌っているのは勿論SMAPですが、演奏は超1流の海外ミュージシャンの面々です。
こういう時によくありますよね…
「海外で有名なミュージシャンとレコーディングしました!」的なCD。
正直、海外ミュージシャンの方の名前を言われても…
「ドラムがブライアンで…」とか外国の方の名前を言われたら正直本当に有名なミュージシャンかどうかわかりませんよね…
ただ、このSMAPのアルバムの参加ミュージシャンは本当にとんでもない人達です!
ここで細かくミュージシャンの名前や経歴を羅列していっても仕方ないので省きますが…
簡単に言うと…ソウルの神様マーヴィン・ゲイとバックバンドが一緒…という感じです。
日本のアイドルのバックバンドが、世界の(本物の)超一流ミュージシャンという。
この企画も会議で最初に出た時に絶対言われたと思いますよ…
「今度のSMAPのアルバムはニューヨークで一流ミュージシャンでやりましょう!」
「え?それ要ります?」
…と。
だって、アイドルですもん。
特に歌の上手さとかCDの完成度とかは必要じゃないですから。
そこにお金かけるなら、もっとビジュアルを押し出したPRとかした方がいいんじゃないですか?と。
ただ、この企画はSMAPが他のアイドルグループとは何かが違う…
その”何か”を生み出すことに一役買っていたと思います。
SMAPの1stアルバムと006~SEXY SIXのジャケットを比べて見てください。
1stは確実にアイドル。
これこそがジャニーズの正統なアイドルでしょう。
しかし、SMAPが作り出した新しいグループ像の第一歩となる006のジャケットがこちら。
イケメン6人の顔はほとんど見えず…ホームレスのおじさんがアップです。
こんな企画、普通に会議で出したら頭の堅い上司に絶対にこう言われますよ。
「アホか!ファンはこの子らの顔が見たいねん!顔出したらええねん!」
総括〜今は必要ないと思っても、5年後10年後を考えて〜
なんとなくですが…
この海外ミュージシャン起用ですとか…この一連の流れには○島さんは主導をしていない気がします。
それはレコード会社であるビクターのアイディアなのか…
ただ、こういった新しいアイディアを柔軟に取り入れる姿勢…先見の明がやはりあったのだと思います。
そして、SMAPのこういった「なんとなくクリエイティブな雰囲気を漂わせる」という作戦が功を奏し、今までのアイドルとは明らかに一線を画していきます…
多田琢や佐藤可士和等の(当時はまだ)新進気鋭のクリエイター達の起用も的中。
逆説的ですが「SMAPがやっているなら今風でオシャレ」という、SMAPそのものが時代の象徴となっていくのです。
1990年代後半当時、音楽サークルの先輩からSMAPのアルバムのミュージシャンの凄さについて語られた後で自分は思ったものです。
「なんでSMAPのアルバムってこんなミュージシャン豪華にしたんだろう?なんかきっとSMAPってやっぱちょっと違うんだろうな」
なんともアホな感想ですが…汗
その”ちょっと違う”という差別化が出来るかどうかが、玉石混合の芸能界では後々とてつもなく大事になってくるのだろうと思います。
こにたん
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